| 5.果物の機能性に関する研究動向 |
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- a.ペクチンでコレステロールが低下
リンゴやカンキツ類等の果物には、水溶性食物繊維の一種であるペクチンを豊富に含みます。ペクチンは、コレステロールを低減する物質として知られています。中年の高リポ蛋白血症の患者は、虚血性心臓病の発症リスクが高まります。しかし、高リポ蛋白血症患者が、リンゴペクチンを1日15g摂取したところ総コレステロール、中性脂肪が低下し、善玉コレステロール(HDL−コレステロール)が増加しました。
- b.発がん抑制効果の高い果実成分
果実には非栄養性機能性物質として人の健康維持増進に役立つポリフェノール類、フラボノイド類、カロテノイド類、クマリン・フロクマリン類、テルペン類、アクリドン類などを含んでいます。これらの多くは発がん予防作用があります。このうち、β−クリプトキサンチン、ノビレチン、オーラプテン、リモネン、リスベラロールなどでは将来の化学予防への利用を睨んで、動物の化学発がんモデルを利用した研究に多くの成果があがっています。ただ残念ながら、現段階では臨床ヒト介入研究まで進んだ例はなく、臨床応用にはまだ時間が必要です。
- c.果実由来発がん抑制成分の作用機構
別項で紹介しているように果実を多く摂取している人にはがんの発生が少ないようです。果実による発がん抑制に関与している成分とその作用機構について精力的に研究が進められています。作用機構としては食物、喫煙などで体内に入った発がん物質の代謝排泄を促す作用、生体内で生じる発がん物質たとえば活性酸素、プロスタグランジン E2、一酸化窒素などの産生抑制や消去(活性酸素について)、発がん抑制遺伝子の活性化などの面から研究が進められています。
- d.骨の健康とカンキツ
カンキツのもっとも重要な非栄養性機能性物質であるヘスペリジン、β−クリプトキサンチンが骨代謝研究でホットです。まだ、試験管レベル・動物レベルでの実験段階ではありますが、ともに我が国での研究です。両成分が骨組織へのカルシウムの吸収・沈着を促進、骨組織からの溶出を抑制する作用があることが明らかになりました。ヘスペリジン、β−クリプトキサンチンがともに、我が国を代表する果物であるウンシュウミカンから豊富に摂取できることから、骨粗鬆症予防に役だっている可能性があり、ヒトレベルでの研究に発展することが期待されます。
- e.β-クリプトキサンチンの不思議
ヒトの体内に存在する重要なカロテノイド6種の内の一つであるβ−クリプトキサンチン(β-CRP)には奇妙なことがあります。日本人には血中β-CRPの多い人が多いこと、日本の妊婦さんの母乳中β-CRPは世界各国と比較して圧倒的に高濃度なこと、β-CRPは摂取量が少ない割に血中濃度が高いことです。さて、その理由は?
- f.カンキツの循環器系疾患の予防作用
カンキツ由来の非栄養性機能性物質、ヘスペリジン、ナリンギンを中心にしたフラボノイドにはコレステロール代謝、脂質代謝の改善作用に関する研究成果が、病態モデル動物を対象にした研究から蓄積しています。最近の疫学(コホート)研究もこの成果を裏付けています。臨床ヒト介入試験による十分な証拠はまだありませんが、今後ヘスペリジン、ナリンギンのコレステロール代謝、脂質代謝の改善作用についての更なる発展が期待されます。
- g.ノビレチンと美容
近年、地球のオゾン層破壊によって紫外線が急増し、皮膚の障害や発がんが心配されています。この障害対策は一般に紫外線を吸収する素材を使用して皮膚を防御することが行われます。これに対してカンキツに特有なノビレチンなどポリメトキシフラボノイドはまったく別のメカニズムに基づく皮膚の障害防止が可能です。さてどのような作用メカニズムでしょうか。
- h.β-CRPの供給源
β-CRPの供給源は赤ピーマンを除くと多くが果実です。特にカンキツには、ウンシュウミカンをはじめ、ポンカン、タンカン、不知火、清見、はるみなどβ-CRPに富む品種が多く重要な供給源です。そのほかではビワ、カキ、黄色系のモモ、パパイヤなどに多く含まれています。
- i.イチゴのビタミンC高含有品種の育成
近年、育成されたイチゴ品種の中には従来品種に比べてビタミンCを多く含むものがあります。それらを素材にしてさらに高いビタミンC含量と糖含量を持つ品種を育成するための研究が進んでいます。もっとおいしくて体にも良いイチゴが食卓にのぼる日が来ることでしょう。
- j.食物繊維と健康機能性
大規模疫学調査から食物繊維を多く摂取すると冠動脈疾患(心臓病)や大腸ガンの予防に効果的であることが明らかになってきた。
- k.葉酸
葉酸は妊婦に必要なビタミンで、心臓病、アルツハイマー病の予防効果が期待されます。
- l. 小さな脂肪細胞を作るカンキツ成分
カンキツ成分のヘスペリジン、ナリンジンなどは、脂肪細胞を小さくし生活習慣病改善に役立っています。
- m. ケルセチンの健康機能
ケルセチンはリンゴやタマネギに含まれるフラボノイドの一種で、強い抗酸化作用を示し、動脈硬化の予防等で今後の研究が期待されています。
- n. 三ヶ日研究
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