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野菜・果物の健康維持機能に関する研究動向
 
 5.果物の機能性に関する研究動向

m.ケルセチンの健康機能

リンゴやベリー類などに含まれているケルセチンは、ポリフェノールに属するフラボノイドの一種で、強い抗酸化作用があるため動脈硬化を防いでくれます。動脈硬化になると、組織への血流が減少し、機能不全を起こします。動脈硬化の原因は、活性酸素によってLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)などが酸化されるためと考えられています。ケルセチンは、この活性酸素を消去し、血管壁の障害を抑制する働きがあります。フィンランドで約1万人の男女を15年間調べた疫学調査によると、ケルセチンの摂取量が多いと脳血管疾患のリスクが下がると報告されています。また、オランダ・ズッフェン地域で行われた疫学調査では、フラボノイド(主にケルセチン)の摂取量が多い人は、心疾患による死亡率が統計的に有意に低いことが認められています。

ケルセチンは発ガン抑制物質としても知られています。ケルセチンは乳ガン細胞(p53)、直腸ガン細胞(Caco-2)などの細胞増殖抑制効果が高く、マウスなどの動物実験でもガン抑制効果が確認されています。フィンランドで行われた疫学調査では、ケルセチンを多く摂取していると肺ガンのリスクが低いことが明らかとなりました。

2型糖尿病に対してもケルセチン摂取の効果が認められています。フィンランドの疫学調査では、リンゴに含まれているケルセチンと2型糖尿病発症との間には逆相関があり、発症のリスクを下げました。また、ケルセチンは、アレルギーが発生する閾値(限界値)を上げる効果があるため、花粉症を緩和すると考えられています。摂取したケルセチンが体内に何時間とどまれるかの実験では、2.5時間後に血液中のケルセチン含量が最大になり、半減期は約25時間後でした。ケルセチンを多く含むリンゴなど果物を毎日摂取することが大切であることを、この実験も示しています。

(文責 田中 敬一)

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