| 3.主な果物の生理機能 |
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c.ブドウ
ブドウは世界でもっとも収穫量の多い果物で、世界各地で幅広く栽培されています。機能性成分としてはスチルベノイド、アントシアニン、カテキン、ジヒドロフラボノール、フラボノール、プロアントシアニジンが含まれています。最近のブドウの機能性をめぐる研究では、これらのうち、特にレスベラトロールとプロアントシアニジンが注目されています。
果皮に含まれるスチルベノイドの一種であるレスベラトロールは、動脈硬化や発がんの抑制に効果を持つことが示されていますが、これらは、抗酸化作用、一酸化窒素の産生促進、血小板凝集の阻害、HDL-コレステロールの上昇などを通じてのものであると言われています。これらのメカニズムのいくつかは、炎症反応の抑制を通じて説明できることが示されています。また、発がん抑制機能については、ヒト膵臓ガン細胞での発がん抑制機能については、抗腫瘍活性を示すマクロファージ阻害性サイトカイン1(MIC-1)の遺伝子発現を上昇させること、ヒト乳ガン細胞においは、乳ガンの発症に重要な役割をはたしているエストロゲン合成系の酵素であるアロマターゼの発現、活性の双方を阻害すること、血管新生を阻害することなど新たな発がん抑制の機構が報告されています。
最近、レスベラトロールに生物の寿命をのばすという新たな機能が見いだされ、注目を集めています。まず酵母にレスベラトロールを与えることで、寿命が70%延びたことが報告されています。これは、生物の寿命に関係すると言われているテロメアDNAの分解を抑制する酵素Sir2の活性の上昇を通じたもので、線虫の一種やキイロショウジョウバエにおいても同様の現象が確認されています。Sir2はカロリー制限を行うことで、活性が上昇し、寿命をのばすと言われていますが、高カロリー食を与えたマウスでもレスベラトロールの投与により、過剰なカロリー摂取による有害な作用を防ぎ、寿命を延ばすことが確認されています。このことは肥満や老化に関連した疾病の治療にも応用できるものと今後の研究の発展が期待されています。
一方、種子に含まれるプロアントシアニジンの機能については、これまでにも発がん抑制や、インスリン様の作用、キサンチンオキシダーゼ活性の抑制を通じた血中尿酸レベルの減少が報告されています。最近では、高濃度のプロアントシアニジンを含むブドウ種子抽出物を中心に、解析が進められ、ラットの肝細胞においてアルコール性傷害を抑制することが報告されています。また、生体内で発生する活性酸素種の消去作用によりβ-アミロイドにより誘導される細胞死を抑制することが、ラットの培養細胞を用いた実験で明らかにされています。また骨代謝の改善に関する研究や、アレルギー抑制に関する研究、肝斑の抑制に関する研究も進められています。
このように多様な機能の解明がすすみつつあるブドウのポリフェノールですが、栄養疫学調査の結果では、フランス人が果実類、野菜類から摂取するポリフェノールの供給源として、ブドウがリンゴ、イチゴに続く重要な位置にあることが報告されています。また、米国で市販されている1,000種類以上の食品を対象とした抗酸化活性の調査において、ブドウジュースが標準的な1回の摂取量あたりの抗酸化活性で第10位であったと報告されています。
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