| 3.主な果物の生理機能 |
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f.カキ
カキにはタンニンが豊富に含まれており、これらは抗酸化能を有することから様々な生理機能に関する研究が行われています。カキの実には解熱・鎮痛・抗炎症効果 、コレステロールの低下作用 、また脳卒中易発高血圧ラットにおける延命効果と脳における脂質過酸化抑制が報告されています , 。最近、果皮がまだ青い幼若果と成熟果で血清脂質に及ぼす影響を比較検討した研究も報告されました 。幼若果を10%添加した高脂肪食を摂取したマウスでは、血中総コレステロール、中性脂肪、LDLコレステロールの有意な低下が認められ、このような作用は成熟果では認められなかったと報告しています。またこの研究ではコレステロールの生合成に関与する酵素の遺伝子発現レベルが亢進していること、またコレステロールの吸収に影響する胆汁酸の合成酵素の遺伝子発現レベルも亢進していたと報告しています。また紫外線照射したアスコルビン酸合成能欠如(ODS)ラットにカキ粉末エキスを投与すると、過酸化脂質の指標の1つであるチオバルビツール酸反応物質(thiobarbituric acid reactive substances: TBARS)の量が皮膚や肝臓で減少し、抗酸化システム系酵素であるグルタチオンペルオキシダーゼも肝臓で増加することが報告されています 。これらの結果から、カキは皮膚や肝臓における酸化ストレスに対して有効と考えられます。
一方、カキに含まれる有効成分としてフラボノイドに着目し、ヒトリンパ芽細胞に対するカキフラボノイドのアポトーシス誘導作用が報告されています , 。また古くから熱冷ましに用いられていたカキですが、実際にヒトに投与したときに体表温度が下がることも報告されています 。一方、カキに多く含まれているフラボノイドが多数結合してできた縮合型タンニンとして知られるプロアントシアニジンについて、近年様々な生理活性が報告されています。Leeらはカキの果皮から抽出したプロアントシアニジンが糖尿病モデルラットの血糖値を下げ、また腎臓中や血中における酸化ストレスを緩和すること、さらには炎症反応系を抑えることを見いだし、カキのプロアントシアニジンが糖尿病状態における酸化ストレスに対して有効であると報告しています , 。同様の研究として、Yokozawaらは、培養細胞を用いた系で高グルコース負荷によって誘導される酸化ストレスをカキ果皮中のポリフェノールが抑制することを報告しています 。
またカキの葉は古くから漢方として用いられてきており、様々な生理活性物質が存在することが考えられます。近年では、カキの葉に抗アレルギー効果のあることが明らかとなっており、これらの効果はカキフラボノイドであるastragalinによるものであることが明らかになっています 。その他にも血小板凝集抑制効果 、神経細胞由来NG108-15細胞における過酸化水素誘発性細胞死に対する軽減効果などが報告されています 。また最近、カキの葉にも高脂肪食負荷ラットでの脂質代謝を改善する作用の有ることが明らかとなりました 。この研究ではカキの葉粉末を摂取させた群では、対照群に比べて、有意な血中レプチン(食欲と代謝の調節をするホルモン)濃度の上昇と、体重・脂肪組織重量の低下が認められたとしています。
また疫学研究でカキの摂取量について着目した結果が最近報告されました 。脂質過酸化反応の最終産物であるisoprostaneの一種、8-iso-prostaglandin F2α(8-iso-PGF2α)は近年アテローム性動脈硬化や冠動脈性心疾患のリスクになることが明らかにされていますが、果物の摂取量と8-iso-PGF2αとの関連を解析したところ、カンキツ類と同様にカキの摂取量も血中8-iso-PGF2α濃度と有意に逆相関することが認められました。このことから、カキは生体内の酸化ストレスに対して防御的に働き、循環器系疾患の予防に有効である可能性が示唆されました。
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