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野菜・果物の健康維持機能に関する研究動向

3. 主な果物の生理機能

h. オウトウ(サクランボ)

さくらんぼ

オウトウ(サクランボ)はバラ科サクラ属の果実で、主に生食用に用いられる甘果オウトウと加工用に用いられる酸果オウトウに分類されます。これ以外に中国では固有の中国オウトウと呼ばれる品種も栽培されています。国内で生産されているサクランボあるいは輸入されているアメリカンチェリーは甘果オウトウに属するものですが、海外ではタルトチェリーなど酸果オウトウに属する品種もジャムや果汁加工向けに栽培されています。

オウトウ(サクランボ)には、難消化性の糖アルコールであるソルビトールが、2.3g/100gと豊富に含まれています。そのため、便秘に悩む人に最適な果物です。便秘になると、便の水分が70%以下と少なくなるため、堅くなり、いきみが必要となり排便が大変になります。便には、腐敗産物や細菌毒素などの有害物質が含まれているので、便秘になると便が腸内に長く止まり、有害物質の濃度が高くなるので、腸管に悪影響が及びます。このため便秘になると、肌荒れ、吹き出物、肩こり、頭痛を誘発するだけでなく、大腸ガンや乳ガンなどの疾病の原因となります。ソルビトールには、便のpHを下げる働きと便の量を増す効果が認められています1)。また、便秘の人にソルビトールを投与した試験では、1日20gの摂取で便秘が解消されました2)

オウトウは、赤い色素であるアントシアニンやフラボノイドなどの抗酸化成分を豊富に含んでいます。これら成分には、ガンや心臓病、動脈硬化などの生活習慣病を予防する働きが認められています。アントシアニンは、ブルーベリーの機能性で知られるようになった成分で、眼精疲労の回復に効果があると期待されています。最近、オウトウからアントシアニンの一種であるシアニジンに、痛風などと関係する炎症反応を強く抑制することがわかりました3)

オウトウに含まれるアントシアニンは、シアニジンの配糖体が中心で、これらはBHTやビタミンEなどの市販の抗酸化剤に匹敵する抗酸化能を有しています。また、プロスタグランジン生合成系の酵素の一つで、炎症や発がんに関与することが知られているシクロオキシゲナーゼの活性を抑制することも示されています4)。アントシアニン類は、オウトウの中ではタルトチェリーがもっとも高く、それを反映してタルトチェリーは高い抗酸化能を持っています5)

(文責 田中敬一)


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