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野菜・果物の健康維持機能に関する研究動向
 
 3.主な果物の生理機能

p.スイカ

スイカは水分が多く4〜6%の糖分(果糖、ブドウ糖)も含むため、夏の水分・エネルギー補給に適した果物です。カリウム含量は可食部100g当たり120mgとメロンよりは少ない1)ものの、一回に食べる量が多いため、カリウム源としても重要です。カリウムの豊富なスイカには利尿作用があることが知られ、腎臓病の妙薬とされてきました。カリウムはナトリウムを排泄する作用を持つことから、高血圧の予防にも役立つとされています。

一般的な赤肉種のスイカは、β-カロテンを830μg/100g含む 1)だけでなく、β-カロテンと同じくカロテノイドの一種であるリコペンが非常に豊富であるという特徴があります。赤色色素であるリコペンは体内でビタミンAに変換されないため、栄養成分ではないが、β-カロテンの約2倍、ビタミンEの100倍以上の一重項酸素消去活性を示すことが明らかにされたため、その強い抗酸化作用が注目されている機能性成分です。これまでの多くの動物実験やヒト介入試験により、リコペンの高摂取はがん、動脈硬化、心疾患、骨粗鬆症、高血圧、神経変性疾患などの発生を抑える可能性が示唆されています 2-5)。リコペンに関する最新の研究では、マウスマクロファージ細胞のリコペン処理がリポ多糖で刺激した一酸化窒素の産生を阻害したことから、リコペンが抗炎症活性を持つことが明らかにされました 6)。また、そのメカニズムは一酸化窒素合成酵素(iNOS)タンパクおよびmRNA発現の阻害であることが示唆されています。

リコペンを含む野菜・果物はスイカ以外ではトマト、カキ、赤肉種のグレープフルーツなどに限られています。また、スイカのリコペン含量は3.6〜6.2mg/100gと報告され 7)、我が国で一般的な生食用トマトよりも高くなっています。さらに、スイカの一回摂取量当たりのリコペン量や抗酸化活性を生のトマトやソース、ペーストなどのトマト加工品と比較すると、スイカの方がかなり高いことが明らかにされています 8)。これらのことから、スイカはリコペンの重要な供給源であると言えます。

種々の果物の抗酸化活性の評価において、スイカは過酸化水素、ヒドロキシラジカル(OH-)の優れたスカベンジャーであり、次亜塩素酸捕捉活性も比較的高いことや、オリーブ油の酸化に対しては地中海性果物の中で最も高い抑制効果を示すことが認められました 9)。ヒトがスイカを摂取したときのリコペンの吸収や抗酸化効果に関する研究もいくつか行われています。スイカジュースを飲むとヒト血漿中のリコペンおよびβ-カロテン濃度を高めたことから、スイカのリコペンが生体内で利用できることが確認されました 10)。また、スイカを摂取すると血漿中での活性酸素の生成が低減したことから、スイカは血漿中でも抗酸化効果を示すことが明らかになりました 11)。Edenharderらは、代謝能力のある細胞におけるヘテロサイクリック芳香属アミン類(発がん物質)の遺伝毒性を抑える食品の一つとしてスイカを報告しています 12)。オーストラリアでの疫学調査によると、リコペン、α-カロテン、β-カロテンなどのカロテノイドやスイカなどのカロテノイド含有の野菜・果物の摂取量が多いほど前立腺がんのリスクが低下しました 13)。また、韓国の男性ではスイカの高摂取が結腸直腸がんのリスクと逆相関の関係にあることが報告されています 14)

スイカは特殊成分として「シトルリン」という遊離アミノ酸を含んでいます。シトルリンは、野生スイカが乾燥ストレスを受けた時に蓄積される物質として報告され 15)、強力なヒドロキシラジカルスカベンジャーとして乾燥条件下での酸化ストレスからDNAや酵素を効果的に保護することが示されました 16)。この物質はさらに、グルタミン酸の炭素骨格を尿素サイクルに導入する機能を持つタンパク質の誘導に関わっていることが示唆されています 17)。これらの報告から、シトルリンはスイカの抗酸化成分として作用するとともに、利尿作用にも関与しているものと考えられます。

スイカは血小板の凝集を抑制する作用、すなわち抗血栓作用が強いことも明らかになっています 18)。さらに、2型糖尿病患者がスイカやリンゴを摂取したときのグリミック指数やインスリン反応などを調べた介入試験においてスイカの効果が認められました 19)

最近、カットしたスイカが販売されることが多くなりました。カットスイカを5℃で保存したときの栄養・機能性成分の変化を調べた研究によると、6日間保存してもパイナップルやキウイフルーツに比べてビタミンCの減少率が少なく、カロテノイドやポリフェノール類は減少しないことが報告されています 20)

スイカ
(文責 東 敬子)

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