野菜・果物の健康維持機能に関する研究動向
2. 主な野菜の生理機能
e. 豆類
豆類の生理機能に関しては、エンドウ豆の血糖上昇抑制、落花生(ピーナッツ)の血中脂質成分の低下などの脂質改善作用、豆類に含まれる食物繊維による腸機能の改善効果などの研究報告があります。最近では大豆に含まれる成分のはたらきが大変注目されており、たくさんの研究がなされています。中でも大豆タンパク、イソフラボンの働きが注目されていますが、大豆にはそれ以外にもビタミンB1、ビタミンB2、大豆レシチンなど様々な有効成分が含まれております。2008年の研究報告では大豆タンパクの脂質改善作用に関する論文が多く見られました。
落花生
アレルギー(安全性)(FlintermanAEet al.、KlemolaT et al.2006)、血糖値上昇抑制に関する報告がありました。11人の健常者へ、糖の負荷の高い食事を摂取させ、これに酢あるいはピーナッツを付加したところ、食後の血糖値を減少させました。(Johnston et al. 2006)
大豆
2008年の研究報告では大豆タンパクの脂質改善作用に関する論文が多く見られました。
腎臓を患っているU型糖尿病患者41人において大豆タンパク食の長期摂取により、空腹時血糖値、血清総コレステロール、中性脂肪、C反応性タンパク(CRP)が有意に低下しました1)。
大豆イソフラボン+カルシウム+ビタミンDの摂取(2年間)が閉経後の女性の骨代謝に有効に働きました2)。一方、高イソフラボン食摂取(1年間)は、閉経初期の女性の骨量増加、骨代謝に影響しませんでした3)。
大豆タンパク食、大豆ナッツ食の8週間の摂取が、42人の閉経後でメタボリックシンドロームの女性のグリセミックコントロールと脂質代謝に及ぼす影響を検討しました。大豆ナッツ摂取により、Cペプチド、LDL-コレステロール、血糖値が有意に減少しました。短期間の大豆ナッツ摂取は、グリセミックコントロールと脂質代謝改善効果が認められました4)。
高血圧や正常血圧の閉経後の女性の血圧に及ぼす大豆ナッツの影響を検討しました。大豆ナッツ入りの食事は、高血圧および正常圧の女性の血圧を低下させました。大豆ナッツ入りの食事は、高血圧の女性のLDL-コレステロールを減少させましたが、正常血圧の女性ではこの影響はみられませんでした5)。
大豆タンパク食、大豆ナッツ食の8週間の摂取が、閉経後でメタボリックシンドロームの女性42人の炎症マーカーへの影響を検討したところ、大豆ナッツ摂取により、炎症に関連するマーカー(インターロイキン18)が減少し、血中のNitric Oxideが上昇しました6)。
60人の健康な閉経後の女性に大豆ナッツ食を8週間与えたところ、身体のほてりが減少し、更年期における症状の改善がみられました7)。
大豆イソフラボンの投与により、体内でエクオルを産生できる女性のみ更年期障害の症状が改善されました8)。
Kohno Mらは138人のボランティアを対象に分離大豆タンパクの構成成分のひとつβコングリシニンの摂取が血清の中性脂肪と内臓脂肪に及ぼす影響を検討しました。βコングリシニンの20週間の摂取はプラセボ(偽薬)に比較して、血清の中性脂肪と内臓脂肪を有意に減少させました9)。
LonnerdalBらは健常な貧血症状のない女性に大豆フェリチン(鉄を含むタンパク質)を投与し、大豆フェリチン由来の鉄の吸収を検討しました。その結果鉄がよく吸収されることがわかりました10)。
軽度の前立腺ガンの男性に大豆タンパクを投与しましたが、ガンの改善効果は見られませんでした11)。
大豆およびその成分において有効性があるとされた項目は、脂質改善、血圧、ホルモン(エストロゲン)代謝、更年期障害症状の改善、腸内環境改善、骨代謝、抗ガン、抗アレルギーなどでした。一方、影響がないと報告されたのは抗ガン(腸、前立腺)、更年期障害症状の改善、カルシウム代謝、骨、血管関連でした。
実験結果の効果の有無の違いは、実験で使用される試験物質の純度や投与量、投与期間に影響を受けます。また、被験者が健常者か否か、疾病の程度、被験者の性別、年齢、国籍にも影響を受けます。さらに、分析方法の精度、測定条件など実験条件の違いも挙げられます。今回紹介した論文は、ある条件下で行った実験の結果です。今後より精度の高い研究手法を用い、数多くの研究を重ねていく必要があります。
| 分類 | 野菜名 | 主な含有成分 | 生理機能 |
|---|---|---|---|
| 豆類 | 大豆 | VB1、VB2、大豆サポニン、レシチン、イソフラボン(ゲニステイン、ダイゼイン) | 胃ガン予防、前立腺ガン予防、脂質代謝改善(効果あり・なし)、骨代謝(効果あり・なし)、更年期症状改善などエストロゲン関連(効果あり・なし)、血圧低下、グリセミックコントロール、腸内環境改善 炎症関連 |
| 落花生 | VB1、VB2、VE、ナイアシン | 脂質改善 | |
| エンドウ豆 | 食物繊維 | 耐糖能 |
